プログラム・日程表

特別講演1

大切にしたいじぶんの体~2度の子宮がんを経験して~

原 千晶(わかばの会)

私は30歳の時に子宮頸がんと診断を受け子宮の全摘を勧められましたが当時は病気と向き合う事ができずに温存を選択。その後の定期検診も2年程で放棄してしまい35歳の年に再び子宮体部と頸部、リンパ節にがんが見つかります。治療後14年でリンパ浮腫を発症。今回はがん治療の経験談と共にリンパ浮腫発症の経緯、自分なりの向き合い方などについてお話させて頂きます。

特別講演2

美容とリンパ ー若々しさの追求ー

深水 秀一(浜松医療センター 形成外科)

昨今世の中を賑わせている「美容医療」ですが、アンチエイジングの分野では常に技術的な努力がなされています。しかし、リンパ流やリンパ管をターゲットにした方法の科学的エビデンスはほとんどありません。これまで形成外科医にとってリンパとの関わりはリンパ浮腫やリンパ管奇形の治療でしたが、今回は現状の美容手技、特にアンチエイジングを対象にした技術とリンパとの関わりを中心に難題に挑戦したいと思います。

教育講演

研究とクラファン

「リンパ浮腫の進行を抑制する治療法開発を目指す、リンパの研究を!」2023年2月に開始されたクラファンは〆切を待たずに目標額を超え、「患者数が多いのに忘れられている疾患なのです」との患者様からのご寄付もあったそうです。研究内容だけでなく、リンパに対する熱き思いを語っていただきます。

進行がん・末期がん患者におけるリハビリテーション診療とリンパ浮腫~骨転移・悪液質を有する患者への対応を中心に

がんのリハビリテーション診療は,腫瘍の存在する部位の障害や治療法も確立してきた。骨転移・悪液質(低栄養・筋委縮)を有する進行がん・末期がん患者に対する身体機能改善 を主目的とした運動療法の効果に関しては、まだ十分なエビデンスが得られていないが、残された生活のQOLを高めることは重要となる。生命予後が限られた進行がん患者のリハビリテーション診療、特にリンパ浮腫に対する治療について講演していただく。

保存療法・多職種連携

浮腫など下肢に種々の症候を来す静脈疾患の外科治療やリンパ浮腫の教育入院を「多職種」と連携して実施しており、併せて「NARAソックス・プロジェクト」などで広く「他職種」とも連携して活動しております。明日からのリンパ浮腫の診療にもお役立て頂ければ幸いです。

下肢静脈瘤の診断と治療

浮腫を来す主要な疾患である下肢静脈瘤について、基本的な診断から最近の手術、圧迫療法について講演いただく。

シンポジウム

リンパ浮腫治療における多職種連携と地域連携の新たな可能性

リンパ浮腫治療では、医師、看護師、理学療法士、セラピストなど、多職種が連携し、患者に最適なケアを提供することが重要です。また専門的に診療できる医療スタッフが不足している地域では、医療機関同士の連携が欠かせません。本セッションでは、多職種連携の実践例や地域医療の協力体制を具体的な事例を交えて紹介し、その意義を議論します。最新の知見をもとに、多職種・地域連携の可能性を探り、リンパ浮腫治療の未来像を描きます。

リンパ浮腫治療の次期保険改定に向けて

リンパ浮腫は、進行性かつ難治性の疾患であり、日本には15~20万人のリンパ浮腫患者がいると推測されていますが、患者さんの多くがリンパ浮腫難民だと感じたことがある、がんの後遺症なのに保険が使えない、がんの主治医に相談しても対応してもらえない、近くにリンパ浮腫の診療施設がない、などの悩みを抱えていらっしゃいます。そのような状況を打破する手段の一つとして保険診療体制の改正は必須と考えます。どのような改正が必要か皆様からのご意見、提案をお願いしたい。

リンパ浮腫の治療時期から考える運動療法のコツ

近年では、運動療法は、適切な指導のもと行うことで、リンパ浮腫の悪化や有害事象を招かずに、リンパ浮腫の軽減につながるため推奨されている。一方で、「患肢を動かしすぎないように」といったイメージが残っていたり、運動の目安に悩んだりして、運動療法の定着に難渋することも多い。本セッションでは、運動療法がもたらす様々な効果を示しつつ、リンパ浮腫治療としての運動療法の効果や必要性について議論したい。

リンパ浮腫、在宅医療現場での取り組み

今回日本リンパ浮腫治療学会は、大会長の海野先生のもとで「リンパにもっと光を!」というテーマで開催されます。
リンパ浮腫の原因としては、がんに対する治療の後に生じることが多く、在宅医療の現場では、がんに対する緩和ケアの一環としてリンパ浮腫への対策も実施されます。このシンポジウムでは、在宅医療の現場において、リンパ浮腫に対して何ができるか討論します。リンパ浮腫の存在は、QOLに影響を及ぼします。自宅で療養している人のQOLの改善のためにも、リンパ浮腫に強力な光を当ててみたいと思います。

リンパ浮腫の画像検査を使い分ける:診断と術前評価

リンパ浮腫の診断および外科的治療において、画像検査の重要性はますます高まっています。本セッションでは、リンパシンチグラフィ、ICG蛍光リンパ管造影、MRI・MRリンパ管造影、超音波、光超音波イメージングについて、それぞれの原理、撮影方法、適応、限界を整理し、最新の知見を交えながら解説します。各モダリティの特性を理解し、診断および術前評価における最適な選択と活用法を議論します。

外科的治療と支持療法の共進化はどこへ向かうのか?

外科的治療と保存療法・外科的周術期管理などの支持療法はリンパ浮腫治療において不可分のものであり、互いに影響を与えながらともに進化を続けています。本セッションではリンパ浮腫治療における外科的治療と支持療法の共進化を検討し、最先端の支持療法が外科的治療をどう強化するか、そして外科の革新が支持療法への依存をどう減らすかを探ります。

リンパ浮腫の予防や早期発見にむけた取り組み

リンパ浮腫は予防教育・早期発見が重症化を防ぐエビデンスも蓄積され、様々な予防手術も試みられている。本セッションでは、リンパ浮腫予防や早期発見への積極的な取り組みを紹介し、この領域の議論を深めていきたい。

パネルディスカッション

がん治療後のリンパ浮腫診療は何が課題となっていて、どこまで浸透しているか?

続発性リンパ浮腫の多くはがん治療後の後遺症であり、非可逆となると生涯に渡って患者自身のセルフケアが余儀なくされる。わが国では、2008年より重症化を予防するための「リンパ浮腫指導管理料」が算定され、さらには2016年に「複合的治療料」が保険収載されるなど、少しずつリンパ浮腫診療は進んできている。しかしながら、どちらの保険収載もまだ十分ではなく、実際の臨床現場では、術後のがん治療と並行してがん治療後後遺症であるリンパ浮腫への対応が十分にいきわたっているわけではない。そこで、本セッションは、それらの政策によってうちだされた支援がどこまで浸透してきているのか、その現状を明らかにしながら、課題と共に、今後のあるべき方向性について議論する場としたい。

リンパ浮腫患者に応じたアドヒアランスを高める支援とは

がん治療後に生じる続発性リンパ浮腫は、複合的治療の中でも特に圧迫療法を継続的に行うことを余儀なくされ、医療者も悪化予防に向けた支援を行うことが求められる。近年、治療の遵守については、コンプライアンスから、患者自らによって主体的に取り組むアドヒアランスの概念が普及している。リンパ浮腫における圧迫療法においても、患者に対してアドヒアランスを高める支援が重要である。
看護師は、他の医療者よりもリンパ浮腫患者に関わることが多く、圧迫療法だけでなく、全人的にケアを行っている。そのような中、様々な病期におけるリンパ浮腫患者に対して、どのようにどの程度、圧迫療法を支援し続ければよいか、患者へのアドヒアランスを高める支援に戸惑うことが多い。例えば、リンパ浮腫発症の急性時期は、患者の精神的な焦りや不安が強く過剰に必要以上の強度な圧迫療法を自らで強いているケースや、身体的症状や心理社会的苦痛が強い緩和時期において、患者は長年行ってきた圧迫療法を脅迫的に続けようとするケースに悩むことが多い。
そこで、本セッションは、アドヒアランスの概念をおさえたうえで、現場で遭遇する事例を通して、看護師としてどのように患者のアドヒアランスをアセスメントするか、また患者のQOL向上のためにどのような支援を行うか、フロアと共に話し合える場としたい

リンパ浮腫診療への超音波検査の応用

超音波検査は無侵襲で、その進歩は目覚ましく、広く臨床に活用されている。リンパ浮腫診療においても、「むくみ」の鑑別診断やリンパ管の評価、複合的理学療法での評価、さらにリンパ管静脈吻合術実施時などにも応用され始めている。リンパ浮腫診療での超音波検査応用の最前線からご報告を頂き、明日からの「むくみ診療」に役立つことを期待する。

学会企画

学会発表の極意を学ぶ

学会発表をしてみたいけれど、ハードルが高くて、、、とためらっている貴方のために、ネタの見つけ方から参考文献の読み方、スライドの作り方、論文の書き方まで、その道のプロ達が手取足取りお教えします!

SIG委員会企画

意見交換会

日本リンパ浮腫治療学会特別関心活動グループ(Special Interest Group:SIG)は、2025年度より活動を開始した。SIGの目的は、1)研究・臨床におけるネットワーク構築、2)最新知見や臨床推進につながる情報交換や議論の場の提供、3)コンセンサスの形成によるリンパ浮腫医療の質の向上である。このセッションでは、①Compression therapy SIG、② Lymphatic drainage SIG、③Skin Care SIG、④Nursing Care SIG、⑤Exercise SIG におけるこれまでの活動を報告し、今後のSIG活動の発展に向けた意見交換を行う。

学会企画ハンズオンセミナー

体験:運動療法

運動療法は複合的治療に含まれ患者さんに指導している項目ですが、自分の方法に自信が持てない、指導しても実践してもらえないなど悩みが尽きません。負荷のかけ方、患者さんのやる気を引き出す方法など、具体策をPTさんに直接指導してもらいます。